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※注意!!!
ものすごくパラレル?な話です。でもある意味パラレルじゃない。(どっち)
そしてある意味で、にょた化(!)
ていうか、かてきょーひっとまんリ●ーンなのかも非常に怪しいくらいな話。
でも書いた人的には、りぼーん。

そんな感じでもよろしければ、スクロールどうぞ↓












ひっく、ひっく、
自分の腹にしがみついて泣く息子に、母親はよしよしと優しくその頭を撫でてやる。
そうすると子供は、ぎゅう、と握りしめる拳に更に力を込めるから、握られた服に皺が寄る。
けれどもそんなことは気にもしないでそっと甘い声で囁く。
この子がこれほどぐずることはとても珍しいのだ。うんと甘やかしてあげたい。

「…どうしたの?」
「…ふっ、っひぐ、……あの、ね…」

しばらく撫で続けてあげていると、少し落ち着いたのかおずおずと口を開いた。

「…こわいゆめ、みたの…」

それは真夜中に泣きながら布団にもぐり込んで来た事からも既に察せられていたことだったが、母親は何も言わずただ息子を撫で続ける。

「…ぼく…まっくらなばしょに、ひとりぼっちで………それから、いたくて…くるしくて…、」

ぽつりぽつり、子供はたどたどしく夢の内容らしき話を語りはじめる。
子供の話は抽象的で、しかし同時に子供らしい恐怖心にあふれた内容といえるものだった。
言葉をつむぎながら夢の恐怖を思い出してかカタカタと小さく震える。

「ふぐっ……それで、ね…しんじゃう、のっ!、……でも、また、…べつの、ぼくになってて…また、まっくら、で……………、」

震えながらそれでも話し続ける子供は、だがやがて様相を変える。その鮮やかな青色の瞳を虚ろにして、次第に口調までも変わっていく。

「まっくらで、でもそこにはこわいものがたくさんで…、………こわい?いや違う!!醜く、愚かで醜悪だ!!そして僕はまた、廻るんだ…!!…何度も、何度も、なんども、なんどもなんどもなんどもなんどもなんども!!!!」

狂ったように叫ぶ。
いつの間にか、小さな手が右目を押さえつけている。その指に力が込められ肉に食い込もうとする前に、白く細い指先が伸びてきて止めた。
びくり。瞬間、子供は体を跳ねさせて、そして電池が切れたように黙り動かなくなる。

「大丈夫、…だいじょうぶだよ」

子供特有の小さく柔い手のひらを自らの手の内に包みこみ、そう囁いた母親は、子供の一連の変貌にはまるで気にする素振りも見せずに、ただ静かに子供を膝に抱き上げる。
そして小さな体を抱き込み、安心させるように背中をそっと叩いた。
とん…とん…とん…
ゆっくりとした一定のリズムと与えられる温もりに、見開いたまま固まっていた子供の目蓋が落ちる。

――――…あぁ、あたたかい…

その目が完全に閉じきる直前、

「ねぇ、かあさん…ぼくは、ぼく、だよね…?」

ぽつりと溢された小さな呟きに応えはなく。…ただ、さらりと髪を梳き撫でる手のやさしい感触が肯定してくれているようで、そっと微笑み眠りに落ちた。


*****


すぅすぅと静かな寝息をたてる子供の頬をそっとなぜながら、目を細める。
穏やかな寝顔――いまは幸せな夢を見れているだろうか。

――――忘れなさい。

目許に残る涙を拭い、子供の耳許でそっと囁く。
その拍子にふわりと彼女の柔らかな栗色の髪先が触れたらしい子供は、擽ったそうに身動ぎをして、けれども目覚めることはなく、胸元に擦り寄るようにしてまるくなってやさしい微睡みの世界の中。
そのあどけない様子に、自然と唇に笑みが浮かぶ。
眠りについて重くなった身体を己の腕の中から布団の中に移そうとして…服をしっかりと握りしめて話さない相手の手に気づき苦笑を漏らす。
その手を無理矢理ほどくようなことはせずに共に横になりながら、風邪を引かないように上掛けをしっかりと掛けて。
目許に落ちた子供の青みがかった髪を直してやり、右目の目蓋に触れるか触れないかのキスを落とした。

「苦しいことも、辛いことも…それは、みんな幻だよ。」

翌朝覚醒したら、夢の内容も先程の遣り取りも、すべて子供は覚えていないことだろう。
当然だ、…無いものを覚えておく必要などないのだから。

――――その痛みは、幻。ありもしない幻の傷。
忘れなさい。捨てなさい。
遠き、古き、まほろばの記憶は。
絶望と辛苦と悲哀の旅は、遠い記憶の果てに、既に終わりを得た。
…今度こそ、おまえは幸せになっていいんだよ。

(…骸、)
(俺の、)
私の、かわいい無垢なる子…






ファントムペイン(幻肢痛)…失った体の一部が、あたかも存在するかのように痛むこと。


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